環境中のアレルゲンなどによりかゆみが生じる「アトピー性皮膚炎」
アトピー性皮膚炎は、アレルギーを含む何らかの原因でかゆみを生じ、かきむしることを繰り返すことで慢性・反復性の皮膚炎が生じる病気です。
人間にもよく見られる皮膚炎ですが、大人になると軽減することが多い人間の場合と異なり、犬の場合には年々症状が悪化することが多いようです。
3歳~5歳までに発症することが多く、アレルゲンの種類や、気温が高くなるとかゆみが強くなるなど季節によっての症状が変化するとこがあります。
食べたことがある食品がアレルゲンになる「食物アレルギー」
「食物アレルギー」は、文字通り食べ物に含まれる、タンパク質に反応して皮膚に炎症が起こる病気です。
人間にも食物アレルギーはありますが、犬の場合には人間のような死亡するほどの急で激しい症状があらわれることはまずありません。
犬の食物アレルギーの症状の表れ方は、アトピー性皮膚炎と似ていますが、アトピー性皮膚炎と異なる点は、高齢になってから発症することが多いことです。
これまでに食べたことのある食品中のタンパク質がアレルゲンとなるため、これらを特定して避けるようにする必要があり、診断するのに時間を要するので、飼い主は根気が必要です。
ノミの唾液がアレルゲンとなる「ノミアレルギー性皮膚炎」
「ノミアレルギー性皮膚炎」または「節足動物アレルギー」と呼ばれる皮膚炎は、ノミや蚊などの節足動物に刺されることで引き起こされる皮膚炎です。
ノミや蚊に刺されると、その部分が赤くはれてかゆみが生じますが、ノミアレルギー性皮膚炎の場合は、そうした一時的・局所的な症状ではなく、腰やしっぽの付け根などに、強いかゆみや赤い湿疹などの症状があらわれるのが特徴です。
3歳~5歳で発症するケースが多く見られます。
以前は、犬の皮膚病というとノミアレルギー性皮膚炎が多かったのですが、室内飼いが増え、ノミやマダニ予防薬の使用が普及した現在は減っています。
ノミアレルギーと診断された場合は、生活環境からノミを駆除し、さらにノミの予防薬を一年中使用してノミの暴露を避ける必要があります。
薬品や化学物質に触れて起こる「接触皮膚炎」
「接触皮膚炎」は化学物質や薬剤、金属などの成分に反応して皮膚に炎症が起こるものですが、アレルギーが関係しているケースと、アレルギーは関係せず、刺激を受けたために一時的に起きるケースの2通りがあります。
アレルギーが関係している場合は、アレルゲンに触れるたびに症状が起きるので、出来るだけアレルゲンを特定してそれに触れないようにすることが大切です。
シャンプーや金属製の食器、床のワックス薬剤などで起きることが多く、例えば金属製の食器にアレルギーを起こしている場合は、口の周りに炎症が起き、床のワックス剤にアレルギーを起こしている場合は、足やおなかなどに炎症が起きます。
アレルギー性の皮膚炎と間違えやすい病気
アレルギー性の皮膚炎では、かゆみで皮膚を傷めてしまうことにより、黄色ブドウ球菌などの細菌による二次感染やマラセチアという酵母菌の増殖を併発していることがあります。
また、疥癬虫などの外部寄生虫がついて皮膚炎が起きている場合もあります。
老齢になってはじめてかゆみが起こった場合は、皮膚の悪性腫瘍が原因のときもあります。
その他、かゆみではなく、関節炎などによる痛みがあるために咬んだり舐めたりして炎症が起きることもあります。
ワンちゃんがいつもと違う様子を見せた場合は、かゆみを感じているのか、痛みがあるのか、あるいは違和感があるのか、よく観察するようにしましょう。